今日1日は日本酒の日であり、前から行ってみたかった南船場の地酒居酒屋「まゆのあな」で久しぶりに吟醸会を催す。といっても、酒友と2人っきりの参加である。
 予約をしてあり、2階の座席に案内されたが、ガラス越しに前栽の生き生きとした竹葉の茂みが見える以外は飾り気はない。吹き抜けの階下も土間のようなフロアに木の卓と椅子が並び、8人程度が坐れるカウンターと上がり座敷が2卓あるシンプルな様式だ。
 
 大柄なマスターが今日付けの「美酒一献」と認めた地酒品書き差し出した。120ほどの純米、吟醸を中心とした銘柄が記されており、これは持ち帰れると聞き飲んだ酒に印を付けることにする。メモしないと、翌日には折角飲んだ銘柄を忘れることが多いので、これはよい記銘簿になる。
 
 ひと夏を越したこの季節、加熱せずに蔵出しされた「ひやおろし」(冷や卸し)に注目し、
 宮城の「伯楽星・純米吟醸ひやおろし」
 愛媛の「石鎚・特別純米ひやおろし」
を2人で所望する。特に石槌(いしつち)は名前の如く、のど越しのしっかりした辛口酒だ。
 肴に注文した「鯵のお造り」はコリコリと旨く、「ゲンゲ(幻魚)と豆腐煮」のゲンゲはとろとろとつかみどころがないが、コラーゲンが多そう。

 さて、次なる酒はといえば、
  山形「上喜元・酒和地純吟うすにごり」
はアルコール度は15%以上あるが甘味がちょっと強い。ネーミングが“しゅわっち”の当て字とは面白い。
  島根「開春・超辛口純米袋取り生原酒」
はしっかりした辛口だ。
 3順目に
  岩手「酉与右衛門・純米火入れ吟ぎんが」(酉+与で一字の造語)
  三重「るみ子の酒・純米無濾過生原酒9号酵母」を。
 最後に
  茨城「来福・純吟生原酒愛山」
  鳥取「美人長・笑 純吟生原酒」(笑:ほほえみと読む)
と火入れを全くしていない生原酒にこだわってみた。
 るみ子の酒と美人長・笑はいずれも女性の経営者や蔵人による渾身作であり、ラベルは微笑ましいが味はしっかりとした辛口であった。るみ子のラベルのデザインは『夏子の酒』の作者・尾瀬あきら氏が描いたもの。
 
 価格は、半合を広口の象牙色の盃に注いでもらって250〜400円の範囲であったから、母店の「やまなか」(大国町)と同じく予算はあまり気にせずに色々な銘柄を試したり、風味の変化を楽しむのによい。 なお、阪神タイガースの優勝にも乾杯して、メニューに記載の8割がたの蔵元銘柄を飲んだ経験があるという誉れ高き酒友と笑みのもと吟醸会を終えた。       (2005年10月1日)
 
 

 
 
 
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