酒は日本酒がメインで、それも参加者が出張先で買い求めた地酒であったり、貰い物や有志からの差入れ物であるため、ある程度本数が確保できたときに、世話役が会の参集を呼びかけて会議室で催したものである。
 その結果、6年間で20回と頻度はさほど多くないが、この吟醸会が続いたのも、その随時的で、随意な参加性からくる気安さがあったためであろうと思う。
 参加人数は少ないときで数名、多いときで20数名であったが、会の存在を聞きつけて営業や管理部門の酒好きの社員が飛び込み参加することも多く、女子社員の参加者も回を追って増えたのである。この間、味わった酒は80銘柄に及んだ。
 残念ながら、時あたかもバブルの崩壊の影響を受けて資本の構成が変わり、事務所は住み慣れた赤坂から渋谷に移ることが決まり、平成六年九月二十九日の“赤坂別れの一献”をもって当会も終焉するに至った。
 「歳歳年年人同じからず」で、春には花を愛でながら酌み交わし、また即興に俳句を吟じてくれた仲間達も今は離れ離れであるが、ここに所載できたのは当時世話役をやってくれた左右田有樹氏や、この吟醸会の記録を保管していてくれた猪亦健治氏等のお陰である。当時参加したメンバーが、いずれの日かこのページを見てくれて、あの頃の酒興や息吹を思い出してくだされば誠に嬉しい。

                 
〜元・東急エージェンシーインターナショナルの仲間に贈る〜
元・世話役長老 岩佐善哉
しみわたる雪中の花の香りかな(詠人知らず)
五月雨紅一点も飲み比べ(弘夫)
吟醸会我が心もゴールデン(泰夫)
利き酒の頬にさわやか春の雨(弘夫)
緑濃き浅黄の空に甘露水(利枝子)
奉祝の雅の酒に夏は来ぬ(弘夫)
新潟のアラビアンナイト298(健治)
麒麟山夏馬駆ける夢駆ける(泰夫)
半世紀玉音放送風化して(利枝子)
台風の余波にもめげず吟醸会(弘夫)
新潟や五頭連峰の夢のあと(泰夫)
阿賀の川集めて旨き麒麟山(善哉)
細川の羽田の冷夏に茅ヶ崎に出る(亮太)
この夏に夕景楽しむ吟醸会(征紘)
忘れゆく酌も楽しや金木犀(Asako)
坂の街虫の音涼しと惜しみつつ(智子)
赤坂の最後の夜は月もなく(Asako)
続・平成吟醸会
メモリアルへ
俳句 淀風庵
創作句集 
創作詩集りべーら
淀風庵へのお便り
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
BGM:Amazing Grace
MIDI作者:konon
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
酒の詩歌句集
総目次
酒を詠んだ詩歌人の系譜
欧州
中東
中国
俳句
中南米
米国
民歌謡
粋歌
川柳
古詩歌
短歌
韓国
酒歌つれづれよしな記
当抄は平成元年から六年の間に、当時、赤坂見附にあった東急系国際広告会社のマーケティング局を中心に酒を愛好する社員が繰り広げた吟醸会の記録です。
創作歌詞集
創作ショートショート