一昨年末に「酒の詩歌句集」というサイトを開設してからというもの、酒の詩歌や俳句の情報を見つけ次第、連鎖的に古書をあさり、今日その冊数を数えたら、124冊に達していた。
うち新刊は3冊しかなく、あとは古書である。
 うっかり同じ古書を買ってしまったものが2件あった。いずれも文庫本で、そのひとつは『芭蕉紀行文集』で、片や189円、一方は100円であった。もうひとつは『白秋抒情詩抄』がダブっていた。

 それはともかく、目的とする古書を探し歩くのは、期待に胸が膨らんで楽しいものである。とともに、やっと探し当てたときの喜びは宝物を見つけたかのようである。
 また、存在を知らなかった酒の本に出会って、え〜!こんなのあったの〜と未知の発見に一瞬、目が固まってしまうことも、何度か経験した。

 いい歳して、失敗もいろいろ経験している。いかにも色あせた岩波の文庫本が書店の奥にうず高く積まれていて、それを引っ張り出して見ていたら、店員から「未だ整理中です」と注意されたこともあった。
 また、別の古書店のスタンプカードを出して、間違いを指摘されたこともある。ある店主がまとめ買いで値をまけてくれたので、別の店でも値切ってみたが、ほとんどは断られる。
 あるときには、店主が図書カードでも買えると言ったので、一休の少々高い本を思い切って買おうとしたら、クレジットカードと勘違いしていたようで、現金が僅かしかなくて買わずに退出したこともある。

 大阪では大きな古書街はなく、梅田のカッパ横丁の10店ほどと、大阪駅前第4ビルの地下街の7,8店ほどが集中しているので便利だ。天神橋筋にも10店そこそこの古書店があるが、地下鉄で2駅分という日本一長い商店街を歩いて探すのも胸が躍るが、途中で買った本の重さで肩こりの原因となってしまう。時には探し疲れて、本を探してくれと書店に頼むことがあるが、倉庫で探しておくと言って、あったためしがない。

 天満宮での古書展が年に何回か催され、10〜20店ほどの出店があるが、そこで掘り出し物を得る機会に恵まれる。しかも、馬鹿みたいに安い値をつけていることがあり、安い食品を買いあさる主婦に共通する?かのような達成感を味わったりするのだ。

 値段に関していえば、ある店で岩波文庫の『万載狂歌集』が千円で売られていたのが、古書展でダンボールをほじくり返していたら、ほとんど傷みや色あせない同書を発見し、なんと200円で買った。
 また、昭和37年刊行の『日本の酒』という酒文化をまとめた住江金之氏の朱印押しのハードカバー本が、ある書店で2,500円しているのに対して、近くの店で680円で売っており、すぐレジに直行したこともある。

 ところで、何年も見られることなく棚や床に置かれて眠っていた目的の書に出会えたとき感じることがある。やっと日の目を見るにいたった本が、微笑みながら喜びを余輩に伝えてくれているように思えるのだ。
 それは、探しあぐねていた岩波文庫の絶版『吉井勇歌集』を神戸の三宮センター街の古書店で見つけたときの喜びに象徴される。よくぞ、暗い所で余輩のためにず〜っと待っていてくれたなあと。

 最近、心斎橋筋などにブックオフという古書の大型チェーン店があり、均一価格の文庫本、新書版が多く並んでいるが、在庫量の割には、趣味や文学関係の単行本が少ないのであまり楽しさが湧かない。

 昔、古本屋は生活費や遊び代ほしさに買い取ってもらうために利用することが多かったが、今や小銭をもって買う楽しみを味わえるようになったのである。
それにしても、古本収集癖に対する古女房のうるさいこと、どうにかならんかぁ。
 自己満足ながら、余輩のサイトが増殖しているのはこんな裏行が積み重なってのことであり、あえてここに記しておく。       (2005年2月23日)
 


 
 
 
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