旅に酒はつきもの、本編では江戸、明治時代に漂泊した俳人の
代表酒句を掲げました。 由 無
参考:各俳人の俳句集ほか
松尾芭蕉
盃や山路の菊と是を干す
草の戸に日暮れてくれし菊の酒
たのむぞよ寝酒なき夜の紙衾
ゆきや砂むまより落ちて酒の酔
雪をまつ上戸の顔やいなびかり
酒飲めばいとど寝られぬ夜の雪
与謝蕪村
初春まづ酒に梅売る匂ひかな
酒を煮る家の女房ちょとほれた
秋風や酒肆に詩うたふ漁者樵者
小林一茶
春の風草にも酒を呑ますべし
酒好きの蝶なら来よ角田川
古利根や鴨の鳴夜の酒の味
引っかける大盃に胡蝶かな
から樽を又ふりて見る夜寒かな
雪降れや貧乏徳利こけぬ中
良 寛
ほろ酔のあしもと軽し春の風
ほろよいのほろよいの春の風
山は花酒や酒やの杉ばやし
かきつばた我れこの亭に酔ひにけり
山しぐれ酒やの蔵に波深し
井上井月
酒といふ延齢丹や冬籠り
よき酒のある噂なり冬の梅
尾崎放哉
酔いがさめ行く虫の音の一人となりて
酔いのさめかけの星が出ている
山の和尚の酒の友として丸い月がある
尾崎放哉(ほうさい)
鳥取県生まれ、明治18年〜大正15年、東大法学部卒。大手保険会社に勤めるも、酒で身を持ち崩し、社会的地位を捨てて、京都・一燈園、兵庫・須磨寺、小浜・常高寺の寺男として転々とし、最後は小豆島・西光寺奥の院の庵主となり42歳で他界するすまでに膨大な自由律俳句を詠む。
須磨寺時代の放哉
俳句 淀風庵