夏のお酒の季語としては、ビール、梅酒、冷酒、焼酎・泡盛、甘酒があります。冷酒は夏の季語ですが、吟醸酒が出回る現在では、冷酒は夏だけの飲み物ではなくなりました。 由 無
四季折々の酒句(夏)T
@里の子等庭に見てゐる麦酒酌む(富安風生)
A敗れたりきのふ残せしビール飲む(山口青邨)
B昼ビール・週刊誌窓外を忘れしや(中村草田男)
Cビール酌む高原の夜や生きゐてこそ(森川暁水)
D心昏し昼のビールに卓濡らし(大野林火)
E天井大風麦酒の泡は消えやすく(佐々木有風)
Fひとり飲むビール妻子に何頒たむ(石塚友二)
Gビールほろ苦し女傑となりきれず(桂信子)
Hビール透く名曲と聴けど眠くして(楠本憲吉)
Iビール酌む男ごころを灯に曝し(三橋鷹女)
Jビールくむ抱かるゝことのなき人と(鈴木真砂女)
K人もわれもその夜さびしきビールかな(鈴木真砂女)
Lビール呑み先輩もまた貧しかりき(栗原米作)
Mビール館電車交叉を踏み鳴らす(山口誓子)
N遠近(おりこち)の灯りそめたるビールかな(久保田万太郎)
O淡々と過ぎたる午後の麦酒かな(角川春樹)
P乾杯に遅れ静かにビール酌む(須藤常央)
Qビールくむ抱かるゝことのなき人と(鈴木真砂女)
@冷酒やはしりの下の石だたみ(其角)
A冷酒よびていまだ帰らず亭の客(尾崎紅葉)
B冷酒やつくねんとして酔ひにけり(石塚友二)
C塩鳥の歯にこたへたり冷し酒(暁台)
D冷し酒夕明界となりはじめ(石田波郷)
E新酒よし蜂の子も可ならずとせず(富安風生)
F冷酒に澄む二三字や猪口の底(日野草城)
G冷酒やをかしき鳰の水走り(森澄雄)
H塩漬けの小梅噛みつつ冷酒かな(徳川夢声)
I冷酒や蟹はなけれど烏賊裂かん(角川源義)
J酒冷やすちょろちょろ川の槿哉(一茶)
K冷し酒中上健次をおもひけり(佐川広治)
L冷酒を吉野秀雄の墓にかける(石原八束)
M潮風に酌みて冷酒は甘かりき(中村芳子)
N冷酒をやめれば寒し秋の風(言水)
O車井に数本の紐や冷し酒(虚吼)
冷酒
ビール
俳句 淀風庵