吟醸抄 
古事記・酒楽の歌
 古事記には歌謡が数多く挿入されており、その中に天皇・皇后の御酒の宴の場面を詠った歌謡を見つけましたので紹介します。時は3世紀であり、これぞまさしく日本で最初の酒の歌といえるものです。なお、日本書紀にもほぼ同じ歌が出てきます。
 『古事記』は第40代天武天皇が神代からの天皇家の歴史を編纂しようと考え、第43代元明天皇の時代(712年)に完成した最古の歴史書です。一方、神代から第41代持統天皇までのできごとを漢文で記した編年体の正史が『日本書紀』で720年に完成しています。古事記は日本書紀の試作版とか秘史とも言われています。            由 無
         参考:『記紀歌謡集』(岩波文庫)
   神功皇后の御歌

この御酒(みき)は 吾が御酒ならず
酒の神 常世にいます
石(いは)立たす 少名(すくな)御神の  
神祷ぎ 寿ぎ狂ほし
豊寿ぎ 寿ぎ廻し
献(まつ)り来し 御酒ぞ
乾(あ)さずをせ ささ。 (飲み乾してください、どうぞの意)

   建内宿禰の返歌(御子・応神天皇に代わり歌う)

この御酒を 醸(か)みけむ人は
その鼓 臼に立てて
歌ひつつ 醸みけれかも
舞ひつつ 醸みけれかも
この御酒の 御酒の
あやに 転(うた)楽し ささ。

      こは酒楽(さかほがひ)の歌なり
  
   応神天皇の御歌

須須許理(すすこり)が 醸みし御酒に われ酔ひにけり
事和酒咲(ことなぐしゑぐし)酒に われ酔ひにけり。
            (心慰め楽しくしてくれる酒の意)

   吉野の国王の御歌

白檮(かし)の生(ふ)に 横臼を作り
横臼に 醸みし大御酒
甘らに 聞こしもちをせ
まろが父 
創作句集 
酒の詩歌句集目次
 第14代仲哀天皇である神功皇后(じんぐうこうごう)は妊娠中でありながら、建内宿禰(たけうちのすくね)とともに朝鮮半島に出兵し、新羅を討ち、帰国後に筑紫で応神天皇を産んだと記紀に記されており、皇后は卑弥呼であるとの伝説もできあがる。
 なお、酒楽(さかほがひ)の歌といえば、吉井勇の『酒ほがひ』という歌集がありますが、由来はこの古事記の歌かもしれません。
 
祇園祭の船鉾は神功皇后の朝鮮出陣をテーマにしたもで、船上に皇后像が安置されている。
少名彦奈命:大三輪神社の祭神で薬、酒の神様
須須許理:渡来人のことで
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