ギリシャ抒情酒詩
創作句集 
創作詩集りべーら
平成吟醸会メモリアル
酒飲もうよ、さ、灯ともしを
何で待ちやる、日はあと指一ふし。
それ大盃を、愛い友よ、
筐から とり出せ、酒とふものを    (筺:かご)
セメラアと大神(ゼウス)との子が  (子:酒神バッカス)
憂さを払へと 人間に下されたげに。
それを注いだり混ぜたり、三つ一にして、
縁のとこまでなみなみと、
して次から次と 盞を追ひ巡らせう。  (盞:盃)

      *

ゼウスさまは しきりに降らしやる、
空からは いかい
暴風雨が来て、水の流れはみな
凍てついて しまうた。
 ・・ ・・・・・・
暴風雨などは 放下してしまへ、
火を あかあかと
燃やし立て、蜜の甘さの
酒をたっぷり存分に
混ぜ合わせて、それから鬢の辺りに
柔らかい蒲団を あてがふものさ。

      *

運が悪いとて 何も気を塞ぐことはない、
愚痴いふたとて 些しの得もありはせぬ。
ほれ、ブッキスよ、一等それによい薬は 
酒を招んで 存分に酔ふことぢゃわい。
              (ブッキス:戦友の名前?)
 紀元前600年前後に活躍したギリシャの抒情詩人・アルカイオスの酒の歌を紹介します。アルカイオスは戦や美少年、女、酒を愛する典型的な貴族ですが、神々への讃歌、政治詩とともに酒や女を詠う抒情詩人として著名であり、その酒の歌は後世好んで誦されました。
 彼は、ローマによる支配やキリスト教の国教化がなされる前の、ギリシャ全盛期の詩人であり、その詩は奔放な生への讃歌といえましょう。
 なお、2004年アテネオリンピックが開催されましたが、紀元前8〜4世紀は古代オリンピアードが4年ごとに、アテネの主神ゼウスの神殿近くの競技場で開かれていた時代です。この競技の時期には諸紛争は休戦となり、全国から集まった成人男性全員が、不正を防ぐため全裸で数種目を競っています。勝者に授けられたのはオリーブの葉冠だけですが、名誉の記しとして勝者の像も建てられています。
 なお、体育のほかに詩の競演も同時に行なわれており、アルカイオスも参加していたのではと想像されるのですが…。       由 無
 参考:呉茂一訳『ギリシャ・ローマ抒情詩選』(岩波文庫)
    高津春繁・斉藤忍随『ギリシャ・ローマ古典文学案内』
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