今夏に漬けたばかりの「梅酒」よりも、前年に仕込んで透明な琥珀色と風味を増した梅酒を、暑い盛りに水で割ったり、氷を浮かべて飲むのは最高らしいです。
「焼酎」は暑気払いとして飲まれたところから、夏(7月)の季語です。甘酒も夏(7月)の季語なんです。暑いときに熱い甘酒をふうふうと吹きながら飲むのが消夏法? もち米の粥に麹を混ぜて、とろ火で6,7時間温めるとできるそうで、「一夜酒」(ひとよざけ)とも呼びます。 由 無
四季折々の酒句(夏)U
・梅酒に身を横たふる松の風(前田普羅)
・わが死後へわが飲む梅酒遺したし(石田波郷)
・梅酒飲む波郷を思ひ更に飲む(相馬遷子)
・とろとろと梅酒の琥珀澄み来る(石塚友二)
・貯へておのづと古りし梅酒かな(松本たかし)
・医師吾に妻がつくりし梅酒あり(川田長邦)
・命惜しむ梅酒を徐々に飲み減らし(白石蒼羽)
・こころみの梅酒に酔ひぬ夕蛙(宮田兆子)
・母のふみ来し日の雨や梅酒漬けむ(星野すま子)
・歳月も梅酒の甕も古りしかな(安住敦)
・わが減らす祖母の宝の梅酒瓶(福永耕二)
・古梅酒をたふとみ嘗むる主かな(松本たかし)
・梅を貰ひ梅酒を貰ひ水戸一泊(高野素十)
・老貫主梅酒をめでておはしけり(山元無能子)
・焼酎に慣れし左遷の島教師(夏井やすを)
・焼酎のつめたき酔や枯れゆく松(西東三鬼)
・泡盛や汚れて老ゆる人の中(石塚友二)
・汗垂れて彼の飲む焼酎豚の肝臓(石田波郷)
・泡盛に足裏まろく酔ひにけり(邊身京子)
・火の国の麦焼酎に酔ひたるよ(大橋敦子)
・泡盛やどぶ臭き月町に出て(宮岡計次)
・静かなる闇焼酎にありにけり(岡井隆)
・焼酎にゑうてあざける浪高し(森川暁水)
・焼酎や四方の闇に奈良の仏(谷野予志)
・焼酎に慣れし左遷の島教師(夏井やすを)
・愚痴無智のあま酒造る松が岡(蕪村)
・能き人や醴(あまざけ)三たび替へにけり
・あま酒の地獄もちかし箱根山
・御仏に昼供へけりひと夜酒
・百姓のしぼる油や一夜酒(其角)
・あまざけや舌やかれける君が顔(嘴山)
・乳母の顔浮ぶ祭の甘酒飲む(伊丹三樹彦)
・ひとりすする甘酒はかなしきもの(清水径子)
・腰かけし牀几(しょうぎ)斜めであま酒屋(星野立子)
・甘酒の沸々木瓜(ぼけ)は雪深き (水原秋桜子)
・夜のかなた甘酒売の声あはれ(原石鼎)
・禅寺の甘酒のどにゆきて酸し(加藤知世子)
・甘酒啜る一時代をば過去となし(原子公平)
・飲みごろの熱さを味の一夜酒(鷹羽狩行)
焼酎
泡盛
俳句 淀風庵
甘酒
梅酒