寒造は寒中の水で酒を醸造すること、またその酒のことです。
由 無
四季折々の酒句(冬)V
寒造り渚の如く米沈む(山口誓子)
二階より桶つりおろす寒造(西山小鼓子)
蔵入りの杜氏は初心を失はず(中井余花朗)
佇めばつぶやく醪寒造(岸風三楼)
門前に竜の玉あり寒造り(森澄雄)
柿渋を塗りし手桶や寒造(阿部月山子)
漢らは水惜しまずよ寒造(草間時彦)
蔵梯子たわむをのぼり寒造(宮下翠舟)
奥深きその情けこそ寒づくり(宗因)
並蔵はひびきの灘や寒作り(其角)
白水の川の出来たと寒造り(一茶)
炉開きや雪中庵の霰酒(蕪村)
比叡一つ前に置たる雪見かな(乙州)
大藪の横たふ嵯峨の雪見かな(市の瀬尺水)
しづかにも漕ぎあがる見ゆ雪見舟(高浜虚子)
雪見酒ひとくちふくむほがひかな(飯田蛇笏)
鶴の舞ふ盃はよし雪見酒(山口青邨)
なにくれと雪見の旅の身の廻り(富安風生)
おのづから雪見酒とはなりにけり(児玉南章)
しばらくして雪見障子の閉ざさるる(桂信子)
酒飲めば債かさむごと雪積めり(角川源義)
雪見酒鶴にはなれぬ男かな(角川春樹)
凍つる夜の独酌にして豆腐汁(徳川夢声)
寒き夜や虚子まず飲めば皆酔へり(星野立子)
李白思えばすぐ酔う雪のひとり酒(原子公平)
寒のビール狐の落ちし顔で飲む(西東三鬼)
酔ひてぐらぐら枯野の道を父帰る
酔顔に怒涛のしぶき寒の闇(伊丹三樹彦)
酒すこし飲んで別れぬ通夜の凍て(石原八束)
雪見酒秘めたることは秘めしまま(木曽晴之)
雪をまつ上戸の顔やいなびかり(芭蕉)
酒飲めばいとど眠れぬ夜の雪
雪降れや貧乏徳利こけぬ中(一茶)
初雪や十になる子の酒の燗(其角)
ひとり雪みる酒のこぼれる(山頭火)
どろどろに酔うてしまひぬ年忘(日野草城)
師の脇に酒つつしむよ年忘れ(石田波郷)
身に障る酒とてもよし年忘れ(久米はじめ)
行く年や酒のみこぼす古畳(小沢碧童)
ゆく年や山にこもりて山の酒(三好達治)
師走何じゃ我酒飲まむ君琴弾け(幸田露伴)
赤々と酒場濡らるる師走かな(前田普羅)
大名に酒の友あり年忘(太祗)
酔李白師走の市に見たりけり(几菫)
俳句 淀風庵
寒 造
雪見酒
雪
寒
忘年会
年越し
師走