スコットランドを代表する18世紀の詩人、ロバート・バーンズは、実はスコットランド民謡『蛍の光』の作者なのです。ただし、原題は『久しき昔』であり、晩餐のあと再会を願って歌われるものだそうです。ただ、日本で歌われている詩は訳詩ではなく日本製です。
バーンズは、スコッチウイスキーをこよなく愛し、賛美した詩をいくつか詠っています。 由 無
参考:中村為治訳『バーンズ詩集』(岩波文庫)
バーンズのスコッチ讃歌
ああお前、私のミューズ(詩神)!
良き古きスコットランドの酒よ、
うねれる蟲の中をお前が逃げ廻るとも、
又は濃き褐色をなして、縁から溢れ、
素晴らしく泡立つとも、
私の舌のもつれ眼じろぐまで私に震撼を与へ、
お前の名前を歌わしてくれ!
・・・・・
お前は込合う居酒屋の生命。
お前なくば、祭りと騒ぎはどうなることだらう。
聖者たちの神々しい集りでさへも
お前によって霊感を与へられ、
彼らの口開いて天幕囲む時、
二倍に焚き付けられる。
ロバート・バーンズ
1759〜1796年。
スコットランドの国民的詩人。スコットランドの方言を用いた詩を農業を営むかたわら詠っており、スコッチウイスキーを愛し、ワインを排する詩も作っている。
ウイリイ五升の酒醸し
聖 祭
Robert Burns
スコットランドの酒
さて居酒屋は大入満員、
ビール飲みつつ聖書の註解。
此処じゃ小型のパンとウイスキー、
彼処ぢゃ四合の大盃が鳴る。
そしてわいわいがやがやと
議論をしたり、聖書を説いたり、
かくて始まる大騒ぎ、
しまひにゃ破裂もしかねない、
その日喧嘩が。
私は酒好き! 酒飲めば
学校などに行くよりましだ。
飲めば智恵付き、学問が出来、
頭は知識ではち切れる。
五勺酒でも一文酒でも、
何か其より強い奴でも、
うんと飲むなら必ずや
よい考へを掻き起す、
夜でも昼でも。
ウイリイ五升の酒醸し、
ロブとアランが飲みに来た。
夜長の夜に之より陽気な
三人の男はありはせぬ。
酔ひはしないよ、酔はしない、
ほんの涙が滲むだけ。
鶏が鳴かうが、夜が明けようが、
神輿を据えて飲み続く。
此処に会ったる三人男、
三人男よ、我等は。
幾夜か楽しく酒を飲み、
之から咲きも飲もうぢゃないか!
最初に立って行く奴は、
間抜け弱虫卑怯者!
最初に酔って倒れる奴が、
三人の中の王様よ!