灘と秋田の酒屋唄
桶洗い唄
(音頭)ハアー寒や北風 アーこう冷とては
(合唱)長の冬中が 勤まろか
丹波出るときァ涙が出たが 今は丹波の風もいや
今日の寒いのに洗い場はどなた 可愛い殿さでなけりゃよい
もと摺り唄
山おろし唄(以下音頭・合唱省略)
あなた川上わしゃ川下よ 書いて流しゃれ恋の文
書いて流すはいと易けれど ぬれて破れて読まりゃせぬ
もと掻き唄
夜半起きしてもと掻く時は 親の家でのこと思う
仕込み唄
風呂上り唄
酒に酔た酔た五勺の酒に 一合飲んだら由良之助
酒は諸白肴は小鯛 殊にお酌は忍び妻
酒と煙草を一度にのめば 思い出したり忘れたり
酒を飲む人心から可愛い 酔うて管巻きゃなお可愛い・・・
三本櫂唄
お伊勢参りて何と言て拝む とかく殿様まめなよに
見たか見てきたか 大阪の城を 前は淀川舟がつく
留 唄
お日が暮れたら明かりをつけて 親の名づけの妻を持つ
親の名づけた妻さえあれば 私もこの様にゃ見は捨てぬ
仕舞うて去にゃるか有馬の駕籠衆 おだて河原をたよたよと
ハァーもとすりはサァヨーイ
楽だと見せて楽じゃない(オヤ何仕事も)
サァヨーイ仕事に 楽あるものか
(コラヨイサニソーラエ サノナーヨーイ)
ハァ 燕がサァヨーイ
酒屋の破風に巣をかけて(オヤなんと鳴く)
サァヨーイ酒かせ売れと さえずるよ
(コラヨイサニソーラエ サノナーヨーイ)
・・・・・
ハァ この米でサァヨーイ
造りし酒は秋田酒(オヤ秋田酒)
サァヨーイ誰名をくれた 佐竹様
(コラヨイサニソーラエ サノナーヨーイ)
灘酒屋唄(兵庫)
毎年、秋田県湯沢市で開かれている
『全国酒屋唄競宴会』
秋田酒屋もとすり唄
酒屋唄は酒造りのときに、種々の作業工程の時間やテンポに合わせて出稼ぎの杜氏や蔵人たちが唄うものです。現在、全国で民謡として唄われているものとして、『秋田酒屋唄』『会津酒屋唄』『湯沢酒屋唄』『喜多方酒屋唄』『灘酒屋唄』『北海酒屋唄』『川越酒屋唄』『越後酒屋唄』『伊予の酒屋唄』などがあります。
工程で分類すると、米とぎ唄、もと摺り唄、仕込み唄、櫂入れ唄、桶洗い唄などがあり、また労を癒す酒盛り唄などの種類があります。冬場の100日に及ぶ苦しい酒造り作業をチームワークで進めるのに欠かせなかったのが酒屋唄なのです。 由 無 参考:町田嘉章他編『日本民謡集』 協力:秋田テレビ 制作部
俳句 淀風庵