中島みゆき愛別酔歌
おまえの惚れた あの女を真似て
使い古しの女っぽさ あたしも染まってみた
おまえの惚れた 相手が変わるたび
あたしも次々変わったわ 悪魔でも天使でも
6年目ね 待てと言われもせず
今夜聞く風の噂
身を固めるんだってね
テキーラを飲みほしてテキーラを飲みほして
短かった幻の日々に
こちらから Say Good Bye
おまえの歩く そのとおりに Goin' Down
街はいくらでも おちぶれるやり方の見本市
ふたりで同じ ひとつ穴のむじな
腐れ縁と呼ばれたかったわ 地獄まで墜ちてでも
テキーラを飲み干して
ふられた気分がわかるなら
やさしい言葉はすてとくれ
ばかだ ばかだとくり返し
私をしかりつけて
ふられた気分がわかるなら
あの娘のうわさはやめとくれ
悪きゃ悪いでそれよりも
なお私はみじめになるばかり
お酒をついでおくれ となりさん
今日は何杯飲んでも飲んでも酔いきれない
今日は何杯飲んでも飲んでも涙がでる
詞曲:中島みゆき歌:研ナオコ
歌姫とも歌精とも称される中島みゆきは1975年、23歳でデビューしてからシンガーソングライターとして数々の歌をリリースしてきましたが、テレビなど表舞台に出ることがなく、NHK『プロジェクトX』のテーマ曲「地上の星」によって広く世間に知られるようになりました。紅白歌合戦へ出演するも、虚飾にまみれるスターと共に舞台に上がらなかった精神が素晴らしい!
歌詞の内容は、恋愛をモチーフに「自責し、呪詛し、嫉妬し、悲嘆し、自嘲しながら…忘れないでほしいと歌う」(勢古浩爾氏)ものであり、歌声は「くぐもる、はりつめる、はしる、のびやかな、軽やかな、うちつける、たちあがる、ぶちあげる」(同氏)など変幻自在で、反復されるリフレインによっていよいよ聴く者の情感が刺激されるのですね。これらを解釈しますと、彼女の歌のテーマのひとつが
“愛別離苦”(仏陀の説く四苦八苦の一つ)であり、その見果てぬ愛(imposible love)への儚い期待や心の葛藤、情念を吟じているのではないかと思います。
さて、彼女の酒歌はそんなに多くありませんが、失恋と未練とやけ酒の歌といえるものです。 由 無
参考:『中島みゆきミラクルアイランド』(新潮文庫)
勢古浩爾『中島みゆき・あらかじめ喪われた愛』(宝島社)
『誰も書かなかった中島みゆき論』(ウエブサイト)
中島みゆき『愛が好きです』(新潮文庫)
詞曲歌:中島みゆき
ふられた気分
涙の国から 吹く風は
ひとつ覚えのサヨナラを 繰り返す
おもいで河には 砂の船
もう 心はどこへも 流れない
飲んで すべてを忘れられるものならば
今夜も ひとり飲み明かしてみるけれど
飲めば飲むほどに 想い出は深くなる
忘れきれない この想い 深くなる
おもいで河へと 身を投げて
もう 私は どこへも流れない
おもいで河
詞曲歌:中島みゆき
ここに居るのは 酔いどれと
噺のうまい 奴ばかり
酒のひとわたりも すれば
浮かれた気分に すぐなれる
上りの列車が出る時刻
名残りの汽笛が鳴る
あたし一人ここに残して
あの人が逃げてゆく
さあ踊り明かせ 今夜は
気の狂うまで 死ねるまで
賭けてもいいよ あの人は
二度と迎えになんか来ない
踊り明かそう
詞曲歌:中島みゆき