田植え酒歌
田植歌謡は古代から全国各地で歌われて伝承されてきたようですが、16世紀には『田植草紙』として編纂されています。その中に、田植作業での酒宴の場面を詠った歌謡があります。
文がやや難解ですが、田の神に酒を奉げ、後に農民が祝い酒を飲むというもののようですが、ともかく滅多に飲めるわけではないでしょうから、はしゃぐかのように酒と肴の到来を歓んでいる様が詠われています。なお、現在も各地で田植神事が行なわれています。 由 無
参考:日本古典文学大系『中世近世歌謡集』(岩波書店)
一 酒はくるさかなはなにかちしやのは
ちしやのはをすわゑにあへては御肴
酒のさかなにあさのほとりのちしやのは
さけのさかなに五条へまいれはちさのは
一 けふのとうどに酒をまいらせうやれ
いざまいらせうやれ千代の御さかつきに
壱つまいれやこれおち酒のつほそこ
しゃくをとらせてまいれやかゝのきく酒
酒の肴に京わさまめのしほうち
一 三ばいに御酒まいらせうやよひさけ
ながゑのちやうしに千代の御さかつきに
三ばいの御酒をまいるはなかゑのてふしに三つとや
三ばいの御酒をまいるはすな田へ水のひくた
一 ちりやれちりやれとにこり酒にちりあれ
ちりあらはなのふそやわろうらかまふそ
のふてよわぬはみなかい酒のならいか
やすい酒やれ五もんに酒は八ひさけ
水くさいのわいねとり酒のならいか
まいれまいれとしいるは田酒のならいか
酒来時之哥
田酒:田人に出す酒
良い酒
長柄の銚子
加賀の菊酒
早生豆の塩打ち
今日の田人
御杯
ちしゃ(野菜)の葉
変若酒(若返る酒)
酢和え
濁り酒
飲もうぞ 舞おうぞ