住江金之先生のうま酒歌
東京農大の名誉教授であり、醸造学、食品学の権威であった住江金之先生は、熊本の造り酒屋に生れたにもかかわらず酒は弱かったそうである。
昭和42年金婚式にあたり住江先生は歌集『うま酒』を上梓されているが、その一部を紹介させていただく。 由 無
参考:『日本酒列伝』(篠原文雄、読売新聞社)
春によし夏はなほよし冬もよし 秋ことさらに酒こそよけれ
いにしへの尊き神の造りいでし 大御酒なればうまし尊し
うま酒をグラスにつぎて手にもちて 飲まむとすれば心ときめく
杯に漏れるうま酒に似てかがやく 光美はしきかな
舌の上にひろがる流れ眼をとぢて 妙なる酒をしみじみ味はふ
燻製をつつき食べつつスコッチの 一杯いまだ甞めをはらざり
のど通りながれながれて胃にしむる この酒の味なににたとへむ
ほのぼのと酔きたるらし春の野の 霞の中に漂ふがこと
うま酒を汲みて語らふ友ありて わが人生は生きし甲斐あり
俳句 淀風庵