七七七五の26音からなる都々逸は名古屋の遊里
   で発祥したと言われますが、それが江戸に伝わり、大流行し
  ました。なかでも都々一坊扇歌という人の美音、節回しは随一
でした。代表作の一つに、「菊は栄えて葵は枯れる 西にくつわの音がする」というのがあります。明治になると自由民権運動を鼓舞する社会風刺的な都々逸も生まれました。
 ここでは、その江戸時代の酒を主題とした粋な都々逸に加えて、大正・昭和  の新作都々逸、ならびに小泉八雲の英訳を紹介します。ご清聴のほどを。                             
        参考:中道風迅洞『どどいつ入門』

     
酔えば都々逸
創作句集 
酒を飲む人花なら蕾 今日も咲け咲け明日も咲け
酒は飲め飲め茶釜で沸かせ 御神酒あがらぬ神はない
論語孟子を読んではみたが 酒を飲むなと書いてない
腹が立つときゃ茶碗で酒を 飲んで暫く寝りゃなおる
酒はほろ酔い娘は二八 花は桜の盛りなえ
どうせこうなりゃデッカイことなされ 親爺質において酒を飲め
お前みたようにそう酒のんで わしに菰でも着せる気か
飲めぬお前と知りつつ注いで すけてやりたい下心
酒にたわむれ花には浮かれ 書物は質屋の重禁固
都々一坊扇歌作
言えばよかったただ好きですと 飲んでくやしさますの酒 (山口まどか)
酔わせたいけど酔わせりゃダウン酔いをはかって酔わす酒(浅井善三亭)
朝と晩では目の色違う 飲むから生きてる灯がともる (海老沢夫恋)
飲んで忘れるつもりの酒が 想い募らす春の雨 (高橋武子)
寄ればそのまま寄られて酔って 酔うにまかせる夜は更ける (水谷湯香)
酔ってほんのり静かな宿で 旦那待つ間にやる浮気 (荻野東雲)
われながら酒に女に溺れず酔わず 悪い月日の生れつき (長谷川伸)
ことばは想いを散らしてしまう ふたり黙って冬の酒 (江成和子)
色恋抜きだという猪口うけて おでんが美味しい雪催い (同)
サケニ酔うまで男と女 トラになるころめすとおす (竹内七面洞)
ふがいないけどなまじの酒で うまくいかない旅の恥 (山本るり男)
さくら吹雪にかり寝のむしろ ずぼらにや過ぎた気まま酒 (永野五番丁)
酔いざめひとり寝夜ふけの宿の よけいな広さの四布ぶとん (山田邪鬼)
よす波ひく波四十路のリズム 宵から夜明けへ酔う生ま身 (大石一力)
大正・昭和の新作都々逸
  色は思案のほかとは言へど これも前世の縁であろ
 Love it is often said, has nothing to do with reason.
 The cause of ours must be some En in a previous birth.

  三千世界の鴉を殺し 主と添寝がしてみたい (木戸孝允)
 This my desire:to kill the crows of three thousand worlds,
 And then to repose in peace with the owner of my heart!
小泉八雲の英訳都々逸(『仏の畠の落穂』より)
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