白楽天(白居易)は中唐を代表する詩人であり(772〜846年)、日本では古くから親しまれてきました。楊貴妃と玄宋皇帝との恋愛悲歌「長恨歌」は彼の有名な叙事詩ですが、酒を讃歌した詩も多く見受けられ、酔吟先生と称されたほどです。二千八百首のうち9百首が酒の歌である。なお、彼は努力して高位の官吏になっています。彼の詩が庶民に親しまれたのは、その平明さによるそうです。        由 無
          参考:長沼弘毅『酒のみのうた』
             武部利男『白楽天詩集』


     
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 対 酒
蝸牛角上争何事   蝸牛角上何事をか争う
石火光中寄此身   石火光中此の身を寄す
随富随貧且歓楽   富に随い貧に随い且く歓楽すべし
不開口笑是痴人   口を開いて笑わざるは是れ痴人
 
 效陶潜體詩 其五 (武部利男訳) 
朝亦獨醉歌      あさ ひとり ようては うたい
暮亦獨醉睡      よる ひとり ようては ねむる
未盡一壺酒      ひとつぼの さけ のまぬ うち
已成三獨醉      さんべんも ひとりで ようた

勿嫌飮太少      すこししか のめぬと いうな
且喜歡易致      すぐ よえる ことが うれしい
一盃復兩盃      いっぱいか あるいは にはい
多不過三四      おおくても さん・しはいまで

便得心中適      それだけで もう いい きもち
盡忘身外事      ひとの こと わすれてしまう
更復強一盃      そこで また むりに いっぱい
陶然遺萬累      いやな こと ぜんぶ わすれる

一飮一石者      いっときに いっこく のむ ひと    
徒以多爲貴      おおざけを むやみに いばる     
及其酩酊時      よっぱらう ことに ついては
與我亦無異      われわれと そう ちがわない
笑謝多飮者      おことわり おおざけのみは
酒錢徒自費      さかだいが たかく つくだけ

 勧 酒
勧君一杯君莫辞   君に勧む一杯君辞する莫れ
勧君両杯君莫疑   君に勧む両杯君疑ふ莫れ
勧君三杯君始知   君に勧む三杯君始めて知らん
面上今日老昨日   面上今日昨日より老い
心中酔時勝醒時   心中酔時は醒時に勝る
帰去来頭已白    帰りなんいざ頭已に白し
典銭将買酒喫    銭に典して将り用いて酒を買いて喫せん

 
  
 
  送 春  (武部利男カナ訳より)
三月三十日   さんがつ さんじゅうにち
春歸日復暮…  はるはさり ひもまたくれる
人生似行客   じんせいは たびびとの よう
兩足無停歩   りょうあしは あゆみを とめず
日日進前程   ひ いちにち さきへと すすむ
前程幾多路   さきざきに たくさんの みち
酒詩ではありませんが、明日への希望が湧く、好きな詩です。
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