湯崎 息
(俳句淀風庵)
 夢
大きな夢があった
ちょっと飛び出して
乳房に悪戯したり
悪い酔いしているうちに
冷たい気流につつまれ
俺の眼は狼だった
人の貌は猿だった
俺は鏡をぶち壊した
ガラスも何枚か割った

灰色の道を歩いていた
ホコリや石灰塵が頭に降りかかり
ガスタンクは煤煙をはいていた
俺の耳に早鐘が投げ込まれ
鉄の肉を引きずって
夢はなかった

喘息を病む女性からの手紙
明るい言葉があった
せ き
小さな子供がせきをした
破れた雨戸の中で
薄毛の子供がせきをした
五時の空はもう明るい

小さな子供がせきをした
初夏の気温はまだ低い
薄毛の子供がせきをした
あ〜あと母はつぶやいた

小さな子供がせきをした
雨戸はことりと音立てた
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BGM:夢
MIDI作者:Windy
http://windy.vis.ne.jp/art/
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