湯崎 息
(俳句淀風庵)
覗かれた街路
覗かれた街路は
つむじ風にのさばられ
人間の骨を砕く機械の
冷たい手先
札束に向けられた脂男のただれた目
そんなものが空中に震えて
千年昔の骨置き場の
肌寒い感触を
ビルやマンモスタンクの天辺から
斜めにまき散らす
道端に俺は冷たかった
何時のことだっただろう
俺は車から振り落とされたのだ
そうだ、遠い昔のことなのだ
まだ、人間どもが薄ぺっらな疑いにとらわれ
ツバを吐きかけたり
心臓を突き刺したりしていた…
雪の幻想曲
雪がふってきた ファーファー
雪はだんだんふってきた ファファファ
雪はほんとにふってきた ファッファッファッ
雪がだんだんつもったよ ファンファン
雪で田んぼも真っ白だ ファンファンファン
雪はまだまだふってくる ファファファンファン
みんなみんな真っ白け
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BGM:雪が踊っている
MIDI作者:Windy
http://windy.vis.ne.jp/art/
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Humanity
冷気をよそおった鉄の刃が背後に忍び寄って重くのしかかろうとした。
* * *
(195※年12月20日の幻覚)
夜――
一匹のサルが歩いていた
ニソ ニソ ニソ
チェッ チェッ チェッ
黒い外套が尻を隠していた
山高帽が頭の上にあった
サルは奥のポケットに手を突っ込んだ
文明の利器 ライター
光と熱に赤い顔はほくそ笑んだ
サルはつぶやいた
humanity だ humanity だ